
九月に赤ちゃんが産まれて、しばらくは映画館や美術館に行くのも一苦労だろうと思っていたのですが、一苦労以前にいくら家で時間があっても観念的な映画や美術に向き合うような頭の使い方はできなくなりました。仕事で頼まれて観た恋愛映画すら、何度か再生しては頭に入って来なくて巻き戻して、を繰り返すほど集中力が落ちているし、音楽もいまいち耳に入って来ません。そこで開き直って無音で過ごそうとしてみたのですが、それはそれで、昼夜関係なく起きていなければならない子育てにおいて、世の中に誰も味方がいないような変な孤独に襲われてしまってよろしくない。そんなわけで最近、特に授乳の時間などは、ソファに座って目の前のテレビで地上波を流しっぱなしにすることが増えました。長らくテレビは、サブスクリプションのアプリを起動するための黒い箱と化していたため、久しぶりに付ける地上波は、今まさに人気の芸人さんやアイドルの方々が次々に登場するという意味で新鮮で、一つの趣味に特化したようなYouTubeやネットフリックスのドキュメンタリーに比べて広い世代に開かれています。朝のニュースに始まり、お昼はワイドショー、夕方のニュースや時代劇、夜のバラエティとドラマ、深夜の通販、などと一日の流れを感じることができるのも面白いなと思っています。