
もともと遊びに出かけるときの荷物は極端に少ない方でした。20年近く前に買ったシャネルのマトラッセに、小さなカードケースと文庫本コンパクトと口紅、携帯電話とタバコと家の鍵を入れておけば十分で、仕事で単行本やiPadを持ち歩きたいときだけプラダの青いガレリアサフィアーノに持ちかえていました。ノートパソコンや本を複数冊入れるときに愛用していたのは、鞄自体がものすごく軽くてビビッドな色が揃うsave my bag。ヒョウ柄やイエロー、レッドなど色違いでいくつも買って、一泊の出張くらいならばそれだけで行くこともありました。持ち物ががらっと変わったのは昨年秋に出産してから。出産祝いにジュエリーデザイナーの友人からもらったファミリアのチェックの大きなバッグにおむつや娘の着替え、哺乳瓶やお湯の入った水筒を入れて買い物や散歩に出かけることが増えました。ファミリアの赤チェックはもともと好きだし、ベビー用品それ自体も買うのは楽しいのですが、そのバッグの中身はほぼすべて娘のものであって私のものではなく、その鞄で出かける時、私は私自身というより娘を生かすための母親として存在する気がします。少しずつ娘を連れたお出かけにも馴れてきたこの頃、新しくクロゼットにやってきたJIMMY CHOOのダイヤモンドコレクションのバッグは、かなりの量の荷物を入れても形がゆがまず、私はそこに娘の着替えと自分の本や化粧品の両方を入れて出かけています。身軽な荷物で出かけていた独身時代の自分と、色々な意味で荷物の増えた今の、自分の中での調和のとれるバッグと言えるかもしれません。