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所有しなくとも大事に思っている道具やモノはいくつかありますが、先日メキシコ、ソチミルコで遭遇したラウンドスケープアーキテクトが制作中の焼杉の大きなテーブルはまだ未完成であるものの、大変心が惹きつけられる家具でした。
ソチミルコはメキシコ・シティ南方にあり、広大な沼地に無数の運河をトルヒネラと呼ばれる小舟で移動することが唯一の交通手段のためメキシコのヴェニス、ともあだ名されています。
このテーブルを作っているのはソチミルコにアトリエを持つラウンドスケープアーキテクト、トラティヌ・マルティネス(Tonatiuh Martinez)とそのチーム。日本庭園に魅了されたトラティヌが木を焼いて加工する、という美しく、原始的な日本伝統のプロセスを使って彼らのプロダクツとして展開しているのです。
私のような素人には杉の木との違いがわからないのですが、この木は「オヤメル」、メキシコの高地に育つ神聖な木材ということです。
地方や国の固有の伝統が、海を渡った土地でその風土や環境に合わせてトランスフォームしていく、文化が地理上でゆっくり移動していくプロセスに遭遇した1日でした。