
実のところ、インテリアへのこだわりはあまりない。
唯一、こだわりらしいものがあると言えば本棚くらいかもしれない。仕事柄、本を読む機会が多く、引越しを機に備え付けの本棚を作ったときには職人さんに相応の注文を出した。
本が見えやすくなるよう白を基調にしてもらい、床から天井まで一段あたり前後2列で収納可能な設計にして、さらにスライド式で……と注文を重ねた。面倒な注文をすべてこなしてくれた職人さんたちの仕事には感謝しかない。とはいえ、それでもすべての本を収納することもできず、資料でつかった書籍を中心に順番に古本屋に回収をお願いした。
職人さんが最後に付け加えるように言った一言を鮮明に思い出す。
「足りなくなったら、この一角も備え付けにすることはできますよ」
まさに今、その注文をするかどうか私は迷っている。本棚に入り切らなくなり、積み上がってしまった本が目の前に広がっているのだから。