パーソナルトレーニングが私を救った
（そして落ち込ませた）

ある日、ショーウィンドウで自分の体型が著しく変わっていたことに気づいた。忙しさにかまけて、会社員時代は顔はもちろん、体にも何もケアしてこなかった。若くて痩せてれば猫背も愛嬌、だが年取ってくると猫背は老女の象徴だ。慌ててパーソナルジムに駆け込んだ。ご多分にもれず、私も一般のジムでは挫折の連続だったので今度こそ。そして元SMAP森くん似で笑顔が眩しい爽やかなトレーナーのおかげで、私は半年で猫背は治り見事な上半身となり、背中にエクボ（俗に言うヴィーナスのえくぼ）もできたのだった。
しかし。嬉しくなって、久しぶりに大事なセリーヌのシャツに袖を通そうとした、ら……こりゃ大変。シャツの腕の部分にシワが寄ってしまっているではないか。鍛え過ぎた。そんなつもりじゃなかった。筋肉付き過ぎてセリーヌのシャツが着られない体なんてありえない。ショックが大きすぎる。そういえば最近、華奢なデザインの服が似合わなくなってきてるような気がしていた。こ、これは……。慌ててトレーナーに「重要なお話があります！」と言って路線変更を申し出た。
森くんは「それは大変ですね」と他人事のように笑った。