
ママ友なんていう言葉は自分には一生縁がないものだと思っていたけど、そんな私にも0歳児の育児中に仲良くなったママ友がいます。私の小説を読んだことがある、と子育て広場で声をかけられて、知り合いました。そのとき赤ちゃんとの暮らしにうまく馴染めずに色々焦りばかり感じていて、何週間も小説なんてかけていなかった私は筆名で呼ばれたことにも、私の小説の最後のページをよく覚えてくれたことにもとても救われました。
平日は娘を預けてお互い仕事に復帰すると、以前ほど頻繁に会うことはなくなりましたが、時々どうしてるか気になって連絡をとっています。彼女にもここのところ子育てのことで少し悩みがあったようでした。そんな彼女と今度、昼間の娘たちが保育園に行っている間にシャンパンでも一杯飲もうという約束をしています。その時に持って行きたい本があります。
娘がまだ生後一か月で、まだ子育てに何も慣れていない私が精神的にも肉体的にも一番つらかったとき、区の支援制度を使って来てもらった助産師兼シッターに言われたとても心強い言葉があります。私が「昨日も一昨日もその前も、やろうと思っていた仕事どころか返したいメール一本も返していなくて、洗い物は哺乳瓶だけ、お風呂掃除は今週に入って一度もしていない」と愚痴をこぼしたところ、その人はこう言いました。「わぁ、じゃあ赤ちゃんにとっては最高に幸福な三日間だったんですね」。
『今日』(伊藤比呂美訳、下田昌克画)という絵本を読んだとき、あのシッターさんも以前この本を読んで救われたんじゃないかなと思いました。子育て中、家事も仕事も本来やるべきことが何も進まず気持ち的に追い詰められることはよくあるのだと思います。もともとはニュージーランドの子育て支援施設に伝わる作者不明の詩。そういうときの自分を、別の角度から見て大丈夫と言ってくれるような素敵な詩です。この本を、今度彼女に送ろうと思っています。(ちなみに私は伊藤比呂美さんご本人から送っていただきました!めっちゃ自慢!)