建築を見にいくことが好きで、旅をするときはそれをメインの目的地として組み込むことがほとんとだ。その中でもル・コルビジエはいちばん多く見てきた建築家かもしれない。この本は、ル・コルビジエの建築の窓を題材とする日本人写真家のホンマタカシ氏による作品集。通常の建築写真からは読み取ることのできない、その建築空間に身を置き、窓から眺めた風景をとても生々しく追体験させるような写真たちだ。
この本はそんな旅を共にしてきた数人の旅の友に贈りたい。学生の頃に同級生ふたりと初めてのヨーロッパ旅行で訪れた《サヴォア邸》《ラロッシュ邸》《ユニテ・ダビタシオン》、元夫と訪れたインドのチャンディーガルの《高等裁判所》《合同庁舎》《州議事堂》、アーメダバードの《繊維業会館》、つい3ヶ月前のパリ旅行で友人ふたりと訪れた《ラトゥーレットの修道院》《ロンシャンの礼拝堂》。
答え合わせをするかのようにページをめくる。彼らと過ごした旅の日差しやにおい、湿度まで蘇ってくる。作品集を眺めながら改めて考えてみると、コルビジエは窓に重点を置いて設計していたことが読み取れる。私にとっては旅の記憶と創造のインスピレーションとしても大切な一冊になっている。