2018年にiPadと初代のアップルペンシルを手に入れ、これまで買い替えながらずっと仕事とプライベート共に使い続けている。iPadを手に入れる前は衣装デザインをクライアントに提案する時に、線画のデザインを何枚かコピーして色を塗り分けてバリエーションを提示していた。時間もインクも費やすので、無駄だなーと思っていた。そんな折、友人がiPadとペンシルを持っていたのを見つけ貸してもらったら、世界が変わったような感覚を得て、すぐに購入を決めた。当時でも値段が高く新品は手が届かなかったのでネットで程度のいい中古品を探した。想像以上の働きをしてくれて、仕事の効率とクオリティが格段に上がってくれた。それからは、毎日肌身離さず持ち歩きイメージのリサーチやドローイング、キーボード付きのケースで書籍の執筆もしている。旅先にもこれ一つあればいいという安心感があり、急なプレゼンテーションのチャンスにもiPad一つで立ち向かってきた。海外出張の機会が増えてきているので、これからもっと活躍してくれるだろう。
かといってiPadだけでは自分の仕事は完結しない。デジタル上で練り上げたアイデアを実際の手と材料を使って形にしていく。画面上では完璧だったアイデアが実際に作ってみるとあんまり良くない、ということはよくある。誰かのコピーをしていたらこんな苦労は無いのだけれど、新しさにチャレンジしてこそのクリエイターだと思っているから、失敗の数が最終アウトプットの質の高さにつながると信じて失敗し続ける。挫けそうな時に画面の中から新たな可能性を示唆してくれる、優しく寄り添って良い時も悪い時も見守ってくれる、iPadは自分にとってそんな存在かもしれない。
11/ 2024