新年あけましておめでとうございます。
私の天然酵母パンへの偏愛は、友人の演出家が始めた北フランスにあるレジデンスの施設Performing Art Forum (PAF)のキッチンでパンの素になる酵母菌=マザーを分けていただいて以来、今年で4年目になります。温度の変化にも敏感なマザーは、季節が変わると発酵のダイナミックさやテンポも変わります。
「私はヨガの代わりに天然酵母パンを焼く」と言ったアメリカ人の料理家がおりましたが、指や手だけでなく五感の全てを使って作られるパン製作の過程は自分の体調や精神状態を如実に反映しますし、定期的に小麦粉と水を加えて培養させるマザーの世話は、忙しい日常の中で時間を律する役目ににもなっています。
捏ねられた生地は、発酵を待っている間もとても良い香りがしますし、発酵で膨らんだ生地の柔らかさはなんとも言えないふかふかさです。2日間かけて発酵させますが、うまく焼けた時は本当に愛おしい気持ちになります。
長期で出張する時はマザーも同伴しますので、うちの酵母菌はヨーロッパ各国、メキシコやコロンビアでの空気中からの雑菌がいっぱい入っているはず。このマザーで作られたパンは野生の力がみなぎっているのです。
1/ 2025