独学で服作りを始め、大学4年生からブランドを立ち上げ衣装デザイナーとして仕事をしてきた自分には仕事の悩みを相談できる先輩がいなかった。ファッションを学校で学んでないコンプレックスや自身の技術力の至らなさに不安を募らせていた20代の時、たくさんビジネス書や自己啓発本を読んでいて、この本に出会った。著者が読者からの悩み相談に答えているのだが、答えは全て“好きなようにしてください”に行き着く。デザイナーとしてのあり方やデザインそのもの、またや生き方そのものについてもこの考え方がとてもしっくりきた。“自分で責任を持って下した判断と、それによって起こる全ての結果に責任を持つ生き方”。当時は全ての業務を一人でこなしていたので、この考え方によってかなりスピード感を持って物事の決断を下すことができ、成長のスピードも上がったように思う。“自分の判断、自分の責任”。チームのメンバーが増えて単独判断が難しくなった今でも、この本に書かれている言葉が指針となり、周りの意見に左右されない独自の判断と独自の活動方法を維持できている。ユニークな存在になりたかったら、ユニークな思考とユニークな決断が必要なのかもしれない。
『好きなようにしてください
たった一つの「仕事」の原則』
楠木建(ダイヤモンド社 )