本棚を撫でるのが好きだ。とぅるとぅる、と本の背を右から左へ、左から右へ、撫でていると深く、呼吸ができる。ある時期は勝負事の前には必ず撫でてから家を出る、という祈願になっていたことすらある。
今回のテーマをいただき、今現在撫でながら考えているのだが、曲がりなりにも読書好きとして、一冊を選ぶのは難しいなあ、と思う。
書店で目があってしまった本。SNSでおすすめとして上がっていた本。子供の頃から大切にしている本。大好きな作家さんのサイン本。
それはそれはたくさんの愛しい本たちが私を見つめているのだが、「心に残る」と言われると、それはやはり、誰かからもらった、誰かの好きな本、だと思う。
ちょうど現在放送中の『GEEKS』の現場にて、好きな本の話になり、田中みな実さんと、滝沢カレンさんと、それぞれにおすすめの本をプレゼントしよう、ということになった。(つまり一人二冊選ぶ)
数日後の交換会。田中みな実さんは、ご自身の一番好きな作家さんの本の中から選んでくれて、「まゆに演じてほしいんだよね」と言いながら渡してくれた。
滝沢カレンさんは「子供のときから一番、大好きな本なの」と言いながら、児童書を渡してくれた。
みな実ちゃん(いつもの呼び方で失礼します)が一番大好きな作家さんの本の登場人物を、演じてほしいと言ってくれたことがとても嬉しく、あまりパーソナルな部分を見せるのが好きではないはずのカレンちゃんが、長く大切に想っている本をプレゼントしてくれたことに胸が温まった。
二人には言わなかったが、実は二冊とも読んだことがあり、それぞれこの本棚に並んでいる。
でも、そういうことではないのだ。二人がくれたこの一冊ずつは、私が持っているそれではなくて、
大切な友人がくれた、友人にとって大切な本。現場が終わった今も、私たちを繋ぐ心の架け橋なのである。
(ちなみに私は山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』をみな実ちゃんへ。村田沙耶香さんの『生命式』をカレンちゃんへ渡しました)
9/ 2024