学生時代の終わりに友人の留学先であるドイツ・デュッセルを訪れ、友人のおかげで現地の同じ年代の大学生たちのクラブ遊びや深夜のお茶会に混ぜてもらうことができました。ドイツは日本より豊かな国ではありますが、それでも若者たちはもちろん大してお金なんてなくて、服屋やスポーツショップでバイトをしながら毎日カーハートのTシャツにリーバイスなどのカジュアルなファッションで、靴もコンバースやアディダスを履いていました。化粧品も「化粧品会社の広告に踊らされたくない」と簡単なオイルやクリームだけで済ませる人が多く、それでもみんなすっごくかわいくて魅力的で楽しく過ごしているように見えたのを覚えています。日本はその頃CanCam全盛期。毎月新しいバッグや靴を手に入れるためにキャバクラバイトに明け暮れ、それがなければ美しくも幸福にもなれないような気がしていました。日常を忘れる、というか、それまでの日常で当たり前に醸成されていた価値観が解体され、それまでの拘りがとても偏っていたことに気づかされる旅でした。
10/ 2024