
小学3年生くらいからだろうか。息子と一緒に美術館に行くと楽しいということがわかった。私は美術館が好きなほうの人間だけれども、いや、だからこそ、子どもを連れていくというのは割と緊張を強いられるイベントになってしまう。まず騒がしくしてはいけないし、息子がつまらない、早く帰りたいなどと言おうものなら鑑賞は強制終了なので、いつも息子の様子を伺うことになってシンプルに疲れる。赤子〜小学校低学年までは、それならば水族館とか動物園、すぐに見終わる小さなギャラリーのほうが、何かと無難だったりするよな〜と考えてきた。
しかし最近は彼も楽しんで鑑賞するようになり、大きな展示で用意があれば必ず音声ガイドを手にして、自分の足で会場をまわるようになった。こちらもこちらのペースで鑑賞できるし、音声ガイドから得た豆知識をこっそり教えてくれたりもする。非常にいい塩梅の同行者に育ってくれたなと思う。美術館はひとりで行くのも楽しいけれど、視点の違う人と一緒だとその楽しさや学びはより大きくふくらむ。息子はそれを改めて教えてくれた。
私の両親は旅行に連れて行ってくれるような人たちではなかったが、美術館と映画館、そして本屋とレコード屋にはよく連れて行ってくれた。その経験は、そのまま自分の趣味に反映されている。そしてこうして自分も息子に似たようなことをしていると考えると、生育環境の多大なる人格形成への影響について考えさせられる。