
昔は外でひとりじゃ夜ご飯が食べられない!という、ショーもない娘だった。若い頃は勇気もなくおずおずとラーメン屋に入るのが精一杯。それが今はどうだ。湯山玲子女史の「女ひとり寿司」は無理だけど、そこそこの店ならひとりで入れる。女性ひとりはだいたい大事にされて、隅の席を案内されたり半量にしてくれたりお土産持たされることもあり、なかなかイイものである(男性諸君は経験ないと思うが)。
私の秘密の場所と言えるのはひとりで行ける、店主がひとりでやってる店だ。たまに誰か連れていくこともあるが「ここはアタシの店だから」風の空気を出してなるべく領域を荒らされないよう気をつけている。仕事の細かい話はしない。
ひとり店主の店は店舗も小さいが、小皿メニューが多かったりするのも嬉しい。1皿は少なくていろんな物食べたいのが大人だ。店主が気を遣って「合いそうだな」と思ったら1人客同士を紹介してくれることもある。決して深入りせず適度な距離の知り合いが増えるのは楽しい。
ひとりでたまに行くバーが1軒ある。ここは家からバカ近いので、酔っ払ったら坂道をデングリ返ししながらでも帰宅できるのがありがたい。ウィスキーバーなのにまずはビールだ。常連やたまに来る有名人のために一般客が多くなるのを嫌がるといういやらしい店である。一見さんが入りにくい重い扉で店内は薄暗く暖炉がある。なのにマスターはヤンキー上がりのイケメンで、私はここだとかなりぞんざいに扱われている。年取るとチヤホヤされたり介護っぽく気を遣われるようになってくるので、雑に扱われてるうちはまだ大丈夫だろうと思って、今日もひとりでウィスキーグラスの丸い氷をクルクル回す。