新聞社に入社した時には、なるべく早い段階で独立してフリーランスになろうと思っていましたが、実は新聞社以外に、ちょっとだけ迷った就職先が三つあります。文系の大学院生だったのでそんなにジャンルをはっきり決めず、なんとなく心が動きそうな響きの会社を受けていた私の手に、最終的にあった選択肢が新聞社を含めて四つ。一つは外資系のジュエリーブランド、次に外資系の超大手IT企業、最後に日本の玩具メーカー。結果的に、元来文章を書くのが苦痛でなかったことと、色々な種類のものを書く体力がつくだろうと思ったこと、それからこれが一番大きいのですが、私は昔から毎日同じ場所に出勤というのがそんなに得意じゃなかったことで、日々違う場所に行ける可能性が高い新聞記者を選びました。
でも、響きとしては外資系ジュエリーブランドなんかにも当然憧れはあったので、もし新聞社に受かっていなければそっちに進んでいたのかな、と思うとその想像もちょっと楽しい。二十年くらい前に付き合っていた広告代理店の男が、外資系 OL って打ち合わせで狂ったようにスタバ飲んでる気がする、と言っていたのが印象的なのですが、もしかしたら私もスタバ片手に英語でパワーポイントを作って、港区のマンションを同じく外資系の夫と共同ローンで買うような生活をしていたかもしれない、と思うとなんだか不思議な気持ちになります。