これしかできないということを続けてきただけなので、それ以外の可能性をあまり考えずに生きてきました。分岐点があるとしたら、高校留学中に進学について決断を迫られたときでしょうか。アメリカの大学を卒業できる自信がなさ過ぎて、逃げるように日本へ帰国しました。当時は、白人ばかりの郊外で生き延びねばというプレッシャーから、チアリーダーのようにまぶしくて無敵!みたいな女の子たちを隠れ蓑に、アジア人へ向けられるなんとも言えない目から守られようと必死でした。そんな17歳の自分が不甲斐なく、根拠のない自信さえ見失っていました。もし、自分は自分でいいし、と思えるたくましさがあったなら。善し悪しはさておき、今とは真逆の、資本主義の猛者しか勝てないような場所でハッスルする日々を送っていたりして……。とニューヨークで働く女性たちを取材したときに、一瞬だけ想像しました。