私は特に「趣味」と言えるものはない。
学生時代の部活動以外は、我を忘れるほど何かに夢中になることもなく、生きてきた。
ただ、旅をすることだけは大好きだ。
10代の頃は、高い渡航費を払い、見知らぬ土地で、
自宅があるのにわざわざ宿を借り、
“せっかく来たのだから”と外で食事をとる。
そんな旅行を「金食い虫だ」とさえ思っていた。
しかし、ある時から、日常を離れ、新たな文化に触れることの豊かさを知った。
何よりも、旅で起こるトラブルや、その地で生まれた思い出は、
どんな記憶よりも強く、鮮やかに心に刻まれていることに気づいた。
もし違う人生を送っていたら、
各地で仕事をしながら、さまざまな国を旅して生きていきたい。
定住せず、移り住むように暮らす。
とはいえ、今の生活の中でも、
さまざまな価値観や文化、衣食住のかたちに触れ続けていたいと思う。
写真は、大好きな土地で撮ってもらった一枚。
せっかく日付を入れられるのに、せっかちな私は、つい設定を忘れてしまった。
それもまた、旅の一部であり、大切な思い出だ。