ワインに詳しい人間ではまったくないのだけど、好きな作り手が何人かいる。たとえばジェラール・シュレールやシャトー・ド・ベル、そしてアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール。好きな作り手のワインはいつでも買えるものではない。在庫切れであることが多いし、ものによってはべらぼうに高いからだ。たまにタイミングよく適当な価格で売っているのを見つけたときに買い求める。
仕事部屋に据え付けられていた古く小さな冷蔵庫に、何本かワインを入れている。気が向いたときに開けるのだが、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのワインは、きらきらとした高揚感とともに飲みたい。ポップで、華やかなんだけど切ない、印象的だけど儚い、そんなワインなのだ。日常的にひとりで飲むより、久々に大好きな友人たちと食卓を囲むときや、年末年始の集まり、誰かのお祝いの席で、そのときの空気と一緒にいただいて、記憶に残したいと思う味をしている。