
仕事がうまくいかなかった時でも恋愛が充実しているとそんなに心のダメージがなかったり、プライベートで友人とトラブルがあっても仕事で嬉しいことがあったら気分が晴れたりした経験は多くの人にあるはずで、私はそうやって自分を全身全霊ひとつの場所に注ぐのではなく、ほどよく分散して色々な世界にちょっとずつ足場を持っていることが、メンタル面で大きな支えになっています。仕事も、できればいくつか毛色の違うジョブがあるといい。私の場合は今でも雑誌の新刊紹介のコーナーなど比較的ライトな仕事や、身辺雑記のエッセイなど、小説や骨太の人文書以外の分野の仕事を続けるのは、そういう分散型でいた方が自分にとってはストレスが少ないと考えているからです。別にスポーツや音楽など大層な趣味がなくとも、たとえば小説を読んだり映画を観たりして、今自分が捉われている世界ではないところにトリップするだけでも、追い詰められた気持ちはかなり解消されるような気がします。だから私は目につくところになるべく色々な世界が広がるように、本棚は幅広で、扉がなく本の背表紙が見えるタイプのものを一面に置くようにしています。