
気力が湧かないとき、制作がつまらないとき、心が傷ついているとき、わたしは映画を観ます。その気分によって観たい作品のジャンルも異なるのですが、映画館で観るということは少し特別なものとしてあります。これは映画館で観たい…というものは、アトリエを飛び出し夜にひとりでレイトショーに出かけます。夜ひとりでいくのがいいです。人もまばらな映画館にそっと座り、映画を観る。帰り道、映画のことで頭をいっぱいにして、寝る直前までレビューを漁り、あれはなんだったのか、どういう意味だったのか、夢の中まで考えたりなんかして、次の日もつくりながらずっと考えたりして。そういうことがだいぶ心の栄養になっている気がします。自分では経験できない別の人生を体験できるのが映画の良さかなと思っています。今年に入って観た中で、心に残っているものは「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」と「リアル・ペイン」。自分ができることなんて大したことはないけれど、ただ人の痛みに寄り添うということはどういうことなのか、を考えさせられるよい映画でした。