
癒しの、と検索すると「癒しの音楽」が多く表示されます。 多くの人が心を癒すために日々音楽を聴いているらしい。
音楽は古代より儀式や医療のために使われてきましたが、私たちが「癒しの音楽」と呼んでいるものは、エリック・サティが提唱した邪魔にならない音楽、 ’家具の音楽’ に始まって、フィリップ・グラスらのミニマル・ミュージックに受け継がれ、それがアンビエントや自然音を用いたスピリチュアル系音楽へと発展しました。
とはいえ人は常に音楽に安らぎや、リラクゼーションを求めているわけではありません。 ショスタコーヴィチや、ウストヴォルスカヤの過激な作品はますますプログラムに取りあげられているし、オルタナティブ・ロック、エレクトロニカ、ダークポップなど強度のある「刺さる」「グッとくる」サウンドが徐々にメインストリームにも入ってきています。
私たちは自分と対峙し、感情を揺さぶられるような音楽体験によって心が浄化されることも必要なのです。
「癒し」と「刺さる」、この両極な音楽の処方。
この大きな振り子の中で、音楽は現代人の心を整える役割をしているようです。