ファッションウィーク終わりで訪れた、ジヴェルニーでの一コマ。日傘で日差しを避けながら、クロード・モネの邸宅の日本庭園を散策しました。
初めてパリを訪れたのは、25歳の夏のこと。当時在籍していた雑誌の撮影をきっかけに、シャネルのオートクチュールショーを取材できることになり、7月のファッションウィークに合わせて花の街へと赴いた。
ランウェイの舞台となったグラン・パレ。会場はコレクションのテーマに合わせて壮麗なカジノへと姿を変え、クリステン・スチュワート、ジェラルディン・チャップリン、リリー・コリンズ、ヴァネッサ・パラディ、菊地凛子、そして G-DRAGON ら、綺羅星のごときゲストたちが立ち並ぶ。フィナーレでローブ・ドゥ・マリエを纏ったケンダル・ジェンナーを伴い、輝くシルバーヘアを靡かせて目の前を歩くカール・ラガーフェルドの姿は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。この年を境に、7月のパリは私にとって欠かすことのできない年中行事となった。
パリは美しい。基本的には。言い淀んでしまう理由は、歩道がめちゃくちゃ汚かったりする——というか、たまに公衆衛生どうなっているの、と疑問を持たずにはいられない場面に出くわすからではあるのだが 、そうは言ってもガルニエ宮の絢爛たる装飾や、オスマン大通りに連なる端正な街並みを目の当たりにするたび、この街に宿る美への飽くなき執念に圧倒されるのだ。
もっとも、今年のパリは、その美しさをゆっくり味わう余裕すら与えてくれなかった。日本でも大きく報じられたように、歴史的な熱波がフランスを襲い、6月には国内平均気温が38.2度を記録。観測史上でも異例の暑さとなった。7月に入っても酷暑は続き、日中は数分歩いただけで眩暈を覚えるほどだった。
歴史的建造物の景観保護を重視するフランスでは、エアコン設置への規制もあり、普及率はヨーロッパでも際立って低い。美への執念は結構だが、近年の異常気象を前にすれば、その理想だけでは立ち行かない現実もある。次にこの街を訪れる頃には、少しでも暑さが和らいでいることを、あるいは、せめてポータブルクーラーが当たり前の存在になっていることを、切に願っている。