夏に欠かせないものといえば?
昔はずっとガリガリくん一択だった。
今はサクレのソルティライチを嗜むほどの大人になった。
そして背負っている物は明らかに重くなった。
AirMac (1.3kg、つまり小ぶりのスイカ1玉)と仕事の紙資料一式とノート、充電一式、イヤホン、簡易メイク道具、大きめの手帳と財布、複数の謎のポーチなどがデフォルトだが、夏はさらに荷物が増える。
小さいタオル、日焼け止め、晴雨両用の傘、扇子、小さいペットボトルの水、冷たいウェットティッシュ、使い捨ての瞬冷感タオル(-6度)などなど。
発狂したかのような燃える太陽の下、ムリムリムリ!と唱え右肩のバッグにスイカを感じながらアスファルトに影を目指して右に左に歩道を歩く。影のない信号待ちの時はすかさず信号機の細~い影の位置を陣取る。たまに見る細~い影の後ろに並んでる人の列は、夏の風物詩だ。
街からオシャレが絶滅する季節である。いくらかわいい夏ワンピを着ても、若いお嬢さんたちの首にはネッククーラー、手にはUVカット手袋と無粋なハンディファン。さらりとワンピの風情ではない。
アーウィン・ショーの短編『夏服を着た女たち』は、柔らかな陽に包まれたNY5番街を歩く女性たちの美しいドレス姿にオットの目が泳ぐたびにツマがチクチク言う話だが(←ごめんなさい)、ネッククーラーもハンディファンも持たない優雅なレディたちが街を闊歩している。この本がNYで発表されたのは1939年だもんなあ。夏には夏らしい品格があっただろうよ。と思って調べてたらなんとこれは11月の秋の話だった。「秋服を着た女たち」だった。なんかフツー。
でも『夏服を着た女たち』本編は常盤新平の名訳も相まって、古き良きNYらしい小洒落た会話にうっとりする。ちなみに南佳孝の同名の曲があり、作詞は松本隆で「夏服を着た小鳥たち」が主役だ。アルバムタイトルは『Seventh Avenue South』(1982年、N.Y.レコーディング)で場面は5番街から7番街南側に移った。ジャケットはお馴染みエドワード・ホッパーの「Nighthawks」で、この言葉は夜遊び人を指すスラング。どこまで辿ってもお洒落な世界線である。
早く涼しくなって「秋服を着た女たち」になりたいですね。