人生に「スカッとする」を求めていないかもしれない。たとえばお酒を飲んだり、旅行をしたり、ここではないどこかへ一時的に行ったとしても、結局いつかは現在地に帰ってこなければならない。問題に向き合って、それがどうにかならない限り、スカッとはしないな……などと思うタイプ。
しかし観ることで「この世界がいいと思える私なら大丈夫だ」といった自信めいたものを取り戻せる映画なら結構ある。スカッとするとは違うけれど、チューニングの役割を果たす映画と言えるかも。
パッと思い浮かぶのは、デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『バベル』、デヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』、ペドロ・アルモドバルの『ボルベール〈帰郷〉』など。ハートフルな話より、サイコスリラーみたいな要素がありながら、人間としてのおかしみや、それでも生きようねといった強さ、自己救済みたいなモチーフを扱う作品が好きだ。そこにある美意識のようなものにずぶずぶと浸り、浴びることで、何かが浄化される感覚がある。もしかして、スカッとしてる、の、かも。
最近では、クリストファー・ノーランの『インセプション』と、アルモドバルの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』がおそろしくよかった。『インセプション』は昨年スリランカ行きの飛行機でたまたま観たら、吹き替えにも関わらずあまりにも感動、帰りの飛行機でも観て、帰国後もう5回以上観ている。というわけで今回のイチオシは『インセプション』としたい。よくもこんな話が思いつくな〜〜と感心してしまう、これぞ自己救済の話。今検索してみたら「SF アクション大作」って出てきて、そういう感覚でこの作品を観たことはないなと思った。