私の育った神奈川県鎌倉市というところは神社やお寺が集まっている場所なので、夏になるとあちこちで神輿をかついだ子どもたちが練り歩いており、夕方になるとどこからともなく盆踊りの音楽が流れてきました。食べ物のほかヨーヨー釣りやスピードくじなどの屋台が出るお祭りは子どもたちに人気で、私も例にもれず、今日はどこどこのお祭りがあるよ、と近所のひとに教えてもらっては二つ隣の家に住んでいたしずかちゃんといそいそと出かけるのが週末の日課のようになっていました。
盆踊りは傍から見ると不思議なものです。みんながやぐらの周りを同じ振り付けで踊りながらぐるぐる回る。アフリカ系の人たちがクラブなどで踊っているのに比べるとかなりどんくさいというか滑稽な気がしますが、自分も輪の中に入ると、涼しくなってきた暗い夜の空に提灯や屋台の灯りが映えて、妙なトランス状態になってずっと踊っていられます。あの文化が根付いているからこそ、日本でパラパラが流行ったのだと納得します。
一度、そんな盆踊りの晩に、隣のクラスの暴れん坊男子を見かけたことがありました。暴力的で、すぐに手が出るし、授業中に先生にいたずらをしたり大声をだしたりするので、女の子たちからはかなり嫌な目で見られることの多かった彼が、盆踊りの列に加わって、やぐらの上を軽く見上げながら、若干ずれた振付で東京音頭を踊っているのを見た時、私はなんとなく意地悪な気持ちが消えて、その後彼とは結構仲良くなりました。盆踊りのあの独特でちょっと滑稽な動きは、日ごろの人間関係をもリセットする力を持っている気がして、そんなところもパラパラナイトと似ているかもしれません。