奈良に住んでいた頃、毎年必ず観に行っていた日本古来の神事で、1136年から始まり今もなお毎年続いている。
12月17日、18日の二日間、春日大社の若宮様という神さまをお迎えにあがり、お連れしておもてなしをするというものだ。
その中でも私的ハイライトは、16日と17日の間の深夜0時、遷幸の儀と呼ばれる儀式がある。若宮様を山からおろし、御旅所と呼ばれるもてなしの場までお連れする。その一連の儀式を一般客も見学することができる。
明かりが一切消された参道をひたすら春日の山に向かって歩き、真っ暗闇の中で、それを待機する。0時をまわる頃、遠くからお囃子が聞こえてくる。松明のあかりがぼんやりと見えてくる。
その行列の真ん中に、榊を持った神官たちの群れが現れる。皆、一様に低い声を発している。
榊で覆い尽くされたかたまりの中には、なにも見えない。
でも、確実に「なにか」がいる。
それがわかる。
鳥肌がたつ。
この感覚がくせになり、毎年通ってしまっていた。
奈良を離れて3年目に入ったが、離れてからも一度観に行った。やはり、あそこには「なにか」がいる。
未見の方は一度、ぜひ。
奈良の奥底の神秘。