つい10年前までは、コンビニでもスーパーでも100円台(特売日には60円!)で買えていたサバ缶は、我々労働者や学生の日頃の不摂生、不養生を縁の下の力持ちのように支えてくれていた。田舎の母親から送られてくる段ボールの中身の片隅が指定席だった。DHA、EPA、良質なタンパク質…!そしてガリガリくん並みにとても安かったのだ。
(ガリガリくんは10年前に、25年ぶりに10円値上げして70円に。)
しかし今年、加工品向きのノルウェー産はあまりに高騰した。ホルムズ海峡問題もあり、サバのような手軽な“大衆魚”は獲れば獲るほど赤字になって事態は急変している。国内の漁獲量は10年間で半減!人気の「あいこちゃん」(伊藤食品)は一部が無期限販売中止になり、「はごろも」も「ウミオス」(旧マルハニチロ、ガソリンスタンドではない)も値上げ値上げで日が暮れるわ途方にくれるわ涙にくれるわお戯れが過ぎますわよトランプーサン。
実はサバのトレヴィアンでサヴァヴィアンな出来事も過去にはあった。2013年に発売された岩手県産の「サヴァ(Ça va)缶」が震災後の復興の象徴として大ヒットしたのだった。サバらしくないオシャレなビジュアルで「オリーブオイル漬け」と「レモンバジル味」の2種類ある(私はレモンバジル派)。諸事情で一時期製造休止していたが、なんと今年3月8日(サヴァ缶の日)に復活している。
実によかった。
従来、サバ缶はご飯に味噌汁におかずに万能で、栄養価も重量級だったので、軽量級のツナ缶(低脂質、低カロリー)をサンドイッチ野郎として軽んじていた。しかしこの深刻なサバ不足のために、あっさり下剋上されて健康班リーダーの座を奪われてしまっている。
ところで私事になるが、今年の夏フェスで福井に行った時に、地元のお土産物屋さんが恐竜だけでなく、熱烈なサバ缶推し!だったのに驚いたのだった。そういえば北村匠海主演のドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」が福井県(小浜市)の話でとても面白かったのを思い出した。ご覧になった方も多いと思うが、水産高校の先輩から後輩に何代も受け継いで、のべ12年間も試行錯誤して、いろいろありながらも宇宙用のサバ缶を作り上げ、最後に本当に宇宙に飛ばしてしまった、というご機嫌な実話を元にしたドラマだ。実際のJAXAとのシビアなやり取り、何回もくじけそうになりながら皆で1冊のノートを綴りながらバトンをつないで、ついに宇宙船の中で宇宙飛行士の野口聡一さんに「おいしい!」と言われるものを作り上げた、とてもイイ話。
泣かせるナー。
宇宙では缶を開けた瞬間に汁が四方に飛ぶから粘度の高い液体にしたり、地上の我々が食べる商品とは味も少し異なるらしい。
ちなみに、このパッケージは当時の高校生3人組によるモノクロ線画のイラストで、「宇宙服を着たサバが宇宙に来ている」という諸星大二郎か伊藤潤二か!というシュールさでベリーナイス。高校生の夢や青春も宇宙へのピュアな憧れも、まったく関係ないところに落ち着いてしまい、とてもセンスを感じました。
というわけで、これからビエール・バルーを聴きながら「若狭宇宙鯖缶」(WAKASA SPACE MACKEREL CAN)をいただいてきます!(まだ食べてなかった)
*mackerelの意味は「鯖」。
ちなみに(株)はてなが提供する日本製の「クラウド型サーバー監視サービス」の名称でもある。時節柄。